記事8「国立国会図書館-OECD加盟諸国の学費」

【日本・教育】〔国立国会図書館〕公開記事より抜粋

 

国立国会図書館は、2019年3月18日、調査と情報「諸外国の⼤学授業料と奨学⾦【第 2 版】」を公開した。これは日本を含むOECD (経済協力開発機構)*加盟 36 か国の国公立大学の授業料と奨学金の概要をまとめたものである。

授業料や奨学金の設計制度は国によって様々であり、諸外国では、それぞれの国の理念や社会経済情勢に基づいて、様々な学生支援制度の導入・検討が行われている。

日本の大学の授業料は、OECD 加盟諸国の中でも高額とされる。国による学生の補助制度は、貸与型奨学金が主であり、授業料減免制度の創設、給付型奨学金の拡充などが議論されている。

OECD は、加盟各国を授業料水準の高低及び奨学金等の公的補助水準の高低によって 4 つのモデルに分類。日本はチリ、韓国と共に高額な授業料が設定されていながら、公的補助の整備が十分ではない「高授業料・低補助」のモデルに入る。日本ではその状況の改善策として、2017 年度から給付型奨学金制度が導入される等の公的補助を充実させる動きが見られる。

「低授業料・高補助」のモデルに入る国々は、フィンランド、ノルウェー、ルクセンブルク、トルコの4国。主に北欧諸国で見られ、授業料が無償あるいは低額に設定されており、幅広い学生を対象とした給付型奨学金を設けていることが特徴である。

 

ニュースソース:

国立国会図書館(NDL)

諸外国の⼤学授業料と奨学⾦【第 2 版】 ― NDL 2019/03/18(2018.3.18)

 

用語

OECD(経済協力開発機構 Organisation for Economic Co-operation and Development

1948年に設立された欧州経済協力機構(OEEC)が改組され、1961年に経済協力開発機構(OECD)が設立された。日本は1964年に、原加盟国以外で初めて、また非欧米諸国として初めて加盟。

1,700名を超える専門家を抱える世界最大のシンク・タンクで、経済・社会の幅広い分野において多岐にわたる活動を行っている国際機関。特に(1)経済政策・分析、(2)規制制度・構造改革、(3)貿易・投資、(4)環境・持続可能な開発、(5)ガバナンス(統治)、(6)非加盟国協力の分野において,活発な活動を行っている。

 

OECD 加盟36 か国

オーストリア,ベルギー,デンマーク,仏,独,ギリシャ,アイスランド,アイルランド,伊,ルクセンブルク,オランダ,ノルウェー,ポルトガル,スペイン,スウェーデン,スイス,トルコ,英,米,カナダ,日本(1964年),フィンランド(1969年),豪(1971年),ニュージーランド(1973年),メキシコ(1994年),チェコ(1995年),ハンガリー,ポーランド,韓国(以上1996年),スロバキア(2000年),チリ,スロベニア,イスラエル,エストニア(以上2010年),ラトビア(2016年),リトアニア(2018年)

(注)世界で37カ国目、中南米ではメキシコ、チリに次ぐ3カ国目の加盟国として、コロンビアの大統領が5月30日にOECD本部にて加盟の覚書に署名した。今後、国会での批准プロセスを経て加盟が実現することになる。

 

外務省:OECD(経済協力開発機構)の概要

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oecd/gaiyo.html

 

追記

図表でみる教育

文部科学省の統計情報にOECDの「Education at a Glance」の紹介ページがあり、定量的で国際比較が可能な最新のインディケータとして、加盟各国の教育状況が毎年公表されている。

大学授業料に関わる値は「C5 高等教育機関の授業料と学生への公的補助(Indicator C5 How much do tertiary students pay and what public support do they receive?)」に掲載されている。

 

図表でみる教育(Education at a Glance)OECDインディケータ

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/index01.htm

 

2018年版カントリー・ノート

「2018年版カントリー・ノート:日本」に掲載された日本の授業料に関するまとめは以下の通り。

  • 日本は、高等教育の授業料がデータのあるOECD加盟国の中で最も高い国の一つであり、過去10年、授業料は上がり続けている。
  • 授業料の高さにもかかわらず、生産年齢人口の半数以上が高等教育を修了しており、その割合は25~34歳の人口で60%に達する。
  • 幼児教育及び高等教育に対する支出は、その50%以上が家計から捻出され、各家庭に極めて重い経済的負担を強いている。しかしながら、幼児教育及び保育に在学する3歳未満の子どもの割合は23%に過ぎず、これはOECD平均31%を下回る。

 

2018年版カントリー・ノート:日本

http://gpseducation.oecd.org/Content/EAGCountryNotes/JPN_Japanese.pdf