記事10「OIST-質の高い論文世界10位」

【日本・教育】〔日刊工業新聞・ニュースイッチ〕公開記事より抜粋

 

英科学誌『ネイチャー』を発行するシュプリンガー・ネイチャーが20日付で「ネイチャー・インデックス2019」を発表した。

国別研究力ランキング1位は米国で、2位は中国、日本は5位。昨年1年間の自然科学分野の論文約388万本と、このうち著名な学術誌に掲載された論文約6万本を分析し、著者の所属機関ごとに、質の高い論文の割合を算出した。

研究機関ごとの順位の1位は中国科学院で2位は米ハーバード大学。日本のトップは東京大学。

一方で、研究機関の規模で調整した、質が高い論文の発表割合や貢献度を反映させたランキングでは、1位は米コールド・スプリング・ハーバー研究所*、2位はオーストリア科学技術研究所*、3位はイスラエルのワイツマン科学研究所*沖縄科学技術大学院大学(OIST)*が世界第10位で日本トップとなった。

通常のランキングで上位に入る大規模な研究所は順位が下がる傾向にあり、規模の小さな研究機関では質の高い論文の発表割合が大きい傾向があった。

日本でも、通常ランキングで上位100位以内の東大や京都大学は、調整後のランキングで順位を落とした。東京大(40位)、京都大(59位)、名古屋大(93位)、大阪大(99位)。

一方で、沖縄科技大は、通常の順位では361位だったが、調整後は日本の研究機関で最高順位となった。

OISTは2012年開設の博士課程のみの5年制大学院。約170人の学生は世界45か国・地域から集まっており、日本人の割合は13%にとどまる。同誌は「日本で最も多様性のある研究機関の一つ」と評価し、授業や研究のほとんどが英語で行われていることも紹介した。

 

ニュースソース:

読売新聞

ネイチャー選定の研究力ランキング、“論文の質”で世界10位になった意外な大学院” (2018.6.23)

用語

 

沖縄科学技術大学院大Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University,OIST

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は5年一貫制の博士課程を置く大学院大学。ほぼ全額予算を政府からの補助金に拠っている。2011年度の政府補助金総額は約119億円。教員・学生の半数以上が外国人。ノーベル賞(生理学・医学賞)受賞者のシドニー・ブレナーを始め、著名な科学者が複数在籍。教育と研究は全て英語で行われる。

 

コールド・スプリング・ハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory:CSH)

米国ニューヨーク州ロングアイランドにある民間非営利財団による研究所。

ブルックリン財団の生物学研究所とワシントン・カーネギー協会の実験進化研究所(のちのカーネギー研究所)が合併して設立された。生物学・医学の最先端の研究で世界的に知られ、ノーベル賞受賞者も出している。

 

オーストリア科学技術研究所(Institute of Science and Technology AustriaIST Austria

自然 科学および数学科学の国際的な研究所。ETH Zurich 、 Weizmann Institute 、およびMax Planck Societyがモデル。 科学者は、政府や経済的利益に制限されることなく自身の目的やアイデアを追求するよう奨励されている。現在51の研究グループで構成される。大学院では、生命科学、形式科学および物理科学に関する学際的博士課程を提供し、127人の学生が在籍(2017年6月)。

 

ワイツマン科学研究所ヴァイツマン科学研究所

イスラエルのレホヴォトにある研究および高等教育機関。他の一般の大学とは異なり自然科学系の大学院大学。世界的にも有名な総合研究センターであり、約2,500名の科学者、博士号取得後のフェロー、大学院生、スタッフが所属。

 

研究機関の規模で調整した研究力ランキング

1位 コールド・スプリング・ハーバー研究所(アメリカ)
2位 オーストリア科学技術研究所(オーストリア)
3位 ワイツマン科学研究所(イスラエル)
4位 プリンストン高等研究所(アメリカ)
5位 ブランダイス大学(アメリカ)
6位 ロックフェラー大学(アメリカ)
7位 ジャワハルラール・ネルー先端科学研究センター(インド)
8位 スイス連邦工科大学ローザンヌ校(スイス)
9位 プリンストン大学(アメリカ)
10位 沖縄科学技術大学院大学(OIST)(日本)